STORY01 「時代の先駆者であれ」創業以来変わらぬヨコオの精神を受け継ぐ二人の開発ストーリー

スマートフォン、タブレット型端末機器などの普及に加え、IoTの進展や自動運転技術の実用化など、デバイスのデータ量は急速に増加している。さらに2020年には第5世代移動体通信(5G)の導入も決定している。2020年代には、移動通信のトラフィック量が2010年の1000倍以上になると言われている。こうした「超高速・大容量」時代への変革を見据えて開発したのが、ヨコオの高周波デバイス検査用プローブカード(=半導体電気検査治具)「YPX」シリーズ。この革新的な製品開発のきっかけとなったのが、ヨコオ特有の「やってみよう」という気質。開発を当初から知る営業のH、技術責任者のNの話をもとに開発ストーリーを紐解いていく。

未来を見据え、「今」やるべきことを。
二人の社員の挑戦がはじまる。

2010年代初頭。スマートフォンが急速に普及し、電子書籍やTV機能、お財布機能などが当たり前のものとして身の回りにある時代。半導体検査用プローブカードの技術責任者Nは、これからの将来にある想いを抱いていた。
Nの所属部門の主なクライアントは、低周波を中心とした製品を扱うメーカーだ。安定したニーズはあるものの、市場変化の動向から「今後は低周波よりも高周波に対応できるプローブカードが求められるだろう。我々も、その変化の波に乗らなければ市場から置いて行かれるのではないか」と考えていた。そこで、同じ想いを抱く営業のHと共に、お客様に自分たちの考える「将来を見据えた提案」を行っていく。
しかし、「近い将来、新しいプローブカードが必ず必要になる」という見込みは、あくまで二人の見解でしかない。お客様から求められているものとは言い切れない。仮に新しいプローブカードが完成したとしても、本当に売れるかどうか、事業として成り立つかどうかもわからない状態。それでも将来を見据えて、「今のまま従来品をつくり続けているだけでは、時代に追い抜かれるときが来るだろう。これから先を見据えると、今やるしかない」この二人の熱い想いから高周波デバイス検査用プローブカードである「YPX」の開発がスタートする。

「視点を変える」という挑戦が、
製品開発に革新を与えた。

従来の低周波向けデバイスには、ピン(プローブ)を使用するプローブカードが採用されていた。しかし、高周波デバイスに対応するプローブカードの開発にはピンの長さを極限まで短く抑える必要があり、従来のピンは使わない方式に変える必要がある。“ピンを使うのが当たり前”から“ピンを使わない”という逆転の発想が求められる開発……ピンの扱いに慣れているNの開発チームでも、難航する日々が続く。その壁を突破するきっかけとなったのが「視点を変える」ことだった。
ヨコオのコア技術は、ピンの『微細加工技術』だ。それがお客様から大きな評価を頂くことにつながっている。最初はその技術を使うことを大前提に考えて開発を進めていたが、微細加工技術だけでは限界を感じた。そこで、抜本から見直しを行い、『微細加工技術による実現』ではなく『実現するための新しい技術』に視点を変えて開発を進めることにした。今まで自分たちの突き詰めていた技術を見直すということは、これまでお客様から頂いている大きな評価という、これまでの実績から離れることであり、大きな決断であった。
前提条件を覆しての再スタートだ。しかし、決してゼロからのスタートではなかった。ヨコオには高周波の技術を駆使した事業がある。また、別の目的で取り組み始めたフォトリソ技術もある。事業の壁を越えて、高周波技術、フォトリソ技術に関する情報を集めることで、「開発の前進」へとつなげていくことができた。

「一緒に育てていきましょう」
未来に向けた開発に、期待の声が届いた。

「うまく乗り越えたと思ったら、またすぐに次の壁が現れる。その繰り返しだった。」試作品をつくり、社内で検証していく……うまくいかなければまた試作品をつくり、検証する……。その過程を繰り返す中で、ある限界を感じるようになった。「試作品はどこまで改善されているのか、お客様にオーダーいただけるような性能なのか……。」開発を進める中で、社内での検証だけでは判断するのが困難になった。
その壁を突破するきっかけとなったのが、とある電子部品メーカーのお客様との出会いだ。お客様は二人が高周波デバイス検査用プローブカードの開発に取り組んでいると知り、「その開発が成功すれば当社にとって大きなソリューションになる!是非協力させてほしい!」と、開発のパートナーとして名乗り出てくれたのだ。
パートナー企業の誕生によって、実環境での検証が可能になった。パートナーから実環境での使用によるフィードバックをもらえるようになると、これまで見えてこなかった新たな問題が浮上してくる。しかしそれは、大きな前進だった。二人は、その声に応えようと必死にトライ&エラーを繰り返していく。「次はこうしてみよう」「この方法はどうだ」「とにかく、もう一度やってみよう」……試作品の性能は着実に上がっていった。

未来に備える製品の完成。二人の挑戦は、まだまだ続く。

「未知の領域へ踏み込む」創業から続くヨコオの先駆者精神は、二人にもしっかりと受け継がれている。
製品として正式にリリースされた後も二人は走り続ける。「もっと良くしたい」という熱意のもと、さらなる改良と改善を続け、2018年には40GHzの周波数まで対応可能な「YPX-K」をリリース。5G向けのデバイスとして多数の企業から注目を集めている。
「開発して終わりだとは思わない、求められる性能や品質はますます上がっていくはず。近い将来、社会にとって、お客様にとって、そしてヨコオにとって欠かせない製品となるようさらに性能を磨いていきたい。」
この「進化する意志」こそが、新たな時代の扉を開く鍵となる。