社会
人権尊重
ヨコオグループは、「人と技術で、いい会社をつくり、いい社会につなげる。」をパーパス(存在意義)と位置付けています。 そして、多様な仲間の声に耳を傾け、世界に目を向け、従業員を支える家族、お客様、お取引先様、地域の皆様など、すべてのステークホルダーの方たちと一緒に、幸せないい未来の姿を思い描き、「新しい」を生み出し続ける進化永続企業を目指しています。
「ヨコオグループ人権方針」(以下、「本方針」)は、ヨコオグループ(以下、「私たち」)のパーパス(存在意義)の基盤として、事業活動において関わるステークホルダーの人権を尊重するという私たちの姿勢と責任を示すものです。 そして、本方針は、人権に関する最上位の方針として、私たちが人権に関する取り組みを継続して進めていく上での指針となるものです。
本方針は、2025年10月に、株式会社ヨコオの取締役会において承認されました。
2025年10月22日改定
株式会社ヨコオ
代表取締役 兼 執行役員社長 徳間孝之
ヨコオグループ人権方針
1. 人権尊重に対する基本姿勢
ヨコオグループは、自社の事業活動が直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、 国際的に認められた人権規範に則り、未然防止・是正・救済・対話・教育などを通じて、すべてのステークホルダーの人権を守るために主体的に取り組む責任を負います。
法令の遵守と国際規範の尊重
私たちは、国際人権章典および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」において認められている人権を尊重します。 また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」および「OECD多国籍企業行動指針」を支持します。 事業活動を行う国や地域における法令を遵守したうえで、もし各国・地域の法令と国際規範の規定が相反する場合には、国際規範において認められた人権を最大限に尊重するための方法を追求します。
本方針の適用範囲とお取引先様への期待
本方針は、ヨコオグループ(株式会社ヨコオおよび連結子会社)各社の雇用形態を問わないすべての役員、従業員、および派遣社員に適用されます。 ヨコオグループのお取引先様の皆様にも、本方針で表明されている人権に関する基準や原則を理解し、支持して頂くために、対話を重視しながら、共に人権尊重の取り組みを進めてまいります。
本方針の運用体制
本方針の運用については、人権・労働・倫理マネジメント委員会が人権の取り組みおよび重大なリスクへの対応を担い、その活動を取締役会が監督します。
2. 人権デュー・ディリジェンスの実施
人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施
私たちは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権への負の影響の特定・評価、影響の防止・軽減、モニタリング、情報開示に継続的に取り組みます。
ステークホルダーとの対話
私たちは、事業活動により生じる、または生じる可能性がある人権への負の影響を理解し、その影響への対処を行うために、社内外のステークホルダーと継続的に対話・協議を行います。
研修・教育
私たちは、本方針の遵守・理解・浸透を図るために、役員および従業員に対して、研修を継続して実施します。
情報開示
私たちは、人権デュー・ディリジェンスの一環として、定期的に人権に関する取り組みの進捗状況について、情報開示を適切に行っていきます。
3. 是正/救済
私たちの事業活動が人権への負の影響を引き起こした、または助⻑したことが明らかになった場合には、ステークホルダーとの対話や苦情処理メカニズムを活用しながらその負の影響の是正・負の影響を受けた人の救済に適切に取り組みます。
4. ヨコオグループの優先人権課題
私たちは、定期的に実施する人権影響度評価の結果に基づき、ヨコオグループにとって優先的に取り組むべき人権課題を特定し、対応を進めます。なお、社会情勢や事業環境の変化などに応じて、優先度を柔軟に見直し、必要に応じて対応の順序や内容の変更を行います。
Appendix 【ヨコオグループ優先人権課題】 (2025年9月時点)
- ヨコオグループにおける課題
- 救済へのアクセス
ジェンダー平等
ハラスメント
外国籍労働者の雇用条件
働きがいのある制度
心身の健康への影響 - サプライヤーにおける課題
- 労働基準/法令遵守プロセスの欠如
- サプライチェーンにおける課題
- 原料調達における紛争地域での人権侵害への関与
強制労働
人権影響度評価
人権影響度評価の目的
株式会社ヨコオでは、企業理念およびヨコオグループ人権方針に基づき、継続的な人権尊重の実践に取り組んでいます。その一環として、事業活動における人権に関する負の影響を可視化・認識するため、「人権影響度評価」を実施し、その低減に向けた対応を進めています。このプロセスを通じて、ヨコオは人権デュー・ディリジェンスの実効性と透明性を高め、事業活動が人権に与える負の影響の低減に継続的に取り組んでまいります。
人権影響度評価の手法
今回の人権影響度評価項目の選定は、国際的および国内の主要な人権関連枠組み※1が示す人権に関する課題や対応指針に加え、ヨコオグループおよび国内取引高の約90%を占める主要サプライヤーを対象に実施した自己評価アンケートの調査結果を踏まえて項目を選定しています。
さらに、第三者機関である一般財団法人CSOネットワーク※2の支援を受け、専門的な知見に基づく助言を得ながら、電子部品製造業としての事業特性やバリューチェーン上のリスクを踏まえた項目抽出を行いました。加えて、社内における過去の通報事例なども考慮し、企業の関与度および深刻度(規模・範囲・救済困難度)に基づく優先度評価を実施しています。
- 国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」、OECD多国籍企業行動指針、ILO国際労働基準、ならびに経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」など
- 一般財団法人CSOネットワークは、公正で持続可能な社会の実現に向けて、企業・行政・地域と連携し、対話と参画を通じた現場課題の解決に取り組む、シンクタンク機能を持つ非営利組織です。
人権影響度マッピング

| 特定された人権に関する課題 |
|---|
| 自社グループの調査票や社内事案において検出された人権に関する課題 |
| 救済へのアクセス |
| ジェンダー平等 |
| 障がい者雇用 |
| 外国籍労働者の雇用条件 |
| ハラスメント |
| 心身の健康への影響 |
| プライバシーの保護 |
| 労働条件 |
| 結社の自由と団体交渉権 |
| 賃金 (同一労働同一賃金) |
| お取引先様の自己評価アンケート調査において検出された人権に関する課題 |
| 労働基準および法令遵守プロセスの欠如 |
| 外国籍労働者者の労働環境 |
| 救済へのアクセス |
| 労働条件 |
| 当社・お取引先様を含むサプライチェーン共通の人権に関する課題 |
| 原料調達における紛争地域での人権侵害への関与 |
| 強制労働 |
| 児童労働 |
| 職場の安全衛生 |
人権影響度評価の今後の進め方
今後は、調査範囲の拡大や評価粒度の精緻化に伴い、評価項目の見直しを段階的に進めていく予定です。具体的には、外部環境および社会的要請の変化、定期的に実施している人権デュー・ディリジェンスの取り組みを通じて抽出される課題を踏まえ、項目の追加・統合・再定義を行っていきます。
次回の見直しは、今年度に新たに対象となる予定のサプライヤーからの自己評価アンケート結果を反映し、人権方針の見直しとあわせて実施する計画です。
その後は、マテリアリティの見直しスケジュールと連動させる形で、継続的かつ計画的なアップデートを図っていきます。
体制
ヨコオグループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、事業活動を通じた人権への負の影響を特定するとともに防止・軽減し、取り組みの実効性を評価したうえで、どのように対処したかについて説明・情報開示していくための体制を強化しています。2022年に発足した人権労働倫理マネジメント委員会が中心となって国内外の子会社および関係部門と連携しながら、人権・倫理に関する重要施策を審議し、人権DDの構築や個別の人権課題に取り組みます。

取り組み
ヨコオグループの人権方針における個別の人権課題への取り組み
| ヨコオグループの人権方針における 個別の人権課題 |
ヨコオの実施策 |
|---|---|
| 強制労働の禁止 | 労働者による手数料支払い防止のための送り出し機関・受け入れ機関との3者間契約締結 |
| 児童労働の禁止 | 児童労働救済規程策定 年齢確認プロセスの強化 |
| 差別の禁止 | 匿名通報が可能な外部受付窓口の整備 |
| 非人道的待遇の禁止 | 祈祷室整備・ハラル食の提供 |
| 結社の自由および団体交渉権 | 労働協約 |
| 労働時間および賃金 | 同一労働同一賃金における不合理な待遇差への対応 |
| 労働安全衛生 | 安全装置導入の必須化 健康診断・ストレスチェックの実施 |
| 外国籍労働者の人権 | NGO団体協力のもと、ベトナム人技能実習生、特定技能社員に対し労働環境に関する従業員インタビューを実施 |
人権方針に関する研修実績
- 【研修内容】
-
- 強制労働の禁止
- 結社の自由および団体交渉権
- 児童労働の禁止
- 労働時間および賃金
- 差別の禁止
- 労働安全衛生
- 非人道的待遇の禁止
- 外国籍労働者の人権

実績
ヨコオグループの人権デューデリジェンス
| 人権DDプロセス | 施策 | 2024年度実績 |
|---|---|---|
| 1.リスクの特定 | 重要課題の選定 質問票の実施 |
自社グループ:RBA内部監査の実施 自社グループ・サプライヤー:セルフアセスメントの実施 |
| 2.分析評価 | 質問票回答の集計・データ分析 リスク値の比較 取り組みの優先順位づけ |
自社グループ:回答評価・フィードバック・対策立案 サプライヤー:分析、フィードバック |
| 3.影響の防止軽減 モニタリング |
海外を含む拠点担当者への教育 規定整備 |
自社グループ:人権担当者教育 規程整備 サプライヤー:是正計画策定 |
| 4. 情報開示 | コーポレートサイトへの記載 統合報告書 |
自社グループ・サプライヤー:コーポレートサイト・ サステナビリティページへの記載、統合レポートへの記載 |
※1.~4.のプロセスを繰り返し、継続的に運用しています。
| 取引先への協力依頼 | サプライヤー説明会 CSR購買ガイドライン配布 |
サプライヤー:CSR購買ガイドライン説明会実施 取引先行動規範同意確認 セルフアセスメント実施 是正計画策定 |
| 有効性の確認 | 是正促進 実地監査 |
人権デューデリジェンス実施状況
| カテゴリ | 人権DD実施対象 | 範囲 | 人権及び社会的責任に関する説明会の実施(目標) | 人権及び社会的責任に関する説明会の実施(実績) |
|---|---|---|---|---|
| 自社グループ | 製造拠点 | 本社 国内海外含むすべての子会社 |
100% | 100% |
| 販売拠点 | 国内海外含むすべての子会社 | 100% | 100% | |
| 直接購買 | 製造関連サプライヤー | 国内取引高90%を占める取引先企業 | 100% | 100% |
| 間接購買 | 人材サプライヤー | 人材提供を受けている国内企業すべて | 100% | 100% |
| 構内請負サプライヤー | 富岡工場構内で業務請負契約を締結している企業すべて | 100% | 75% |
※なお、本内容の報告対象期間である2023.4 ~ 2025.3の期間中、グループ会社及びサプライヤー企業にて外部通報窓口への人権侵害インシデントに関する報告・相談は有りませんでした。
セルフアセスメントの実施により抽出された課題
自社グループ
- ダイバーシティの促進
- 社内文書・表示の多言語化 授乳室の設備整備
- 生活賃金の保証
- WageIndicatorの基準に基づく生活賃金の保証
- インシデント対応ガイドライン
- 人権インシデント発生時の調査連携体制構築
- 管理職への人権研修
- 人権マネジメント研修の実施
- 人権影響度評価(マッピング)
- 深刻度・蔓延性/回復可能性を軸に、自社事業と社会に与える影響を評価
サプライチェーン
- 紛争鉱物DD
- 紛争鉱物デューデリジェンスのプロセス不足(是正計画立案済み)
- 児童労働の防止
- 年齢確認のプロセス不足(是正済み)
